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照明の色

照明は、蛍光灯の開発により部屋全体を明るく照らすことが可能になり、それまでの電球とは比べ物にならないほど部屋全体が明るくなりました。

ただ、勉強机にはスタンドライトが必要だったように、実は「必要な場所に必要な照度を確保する」という本来の照明の役割を蛍光灯器具は得意ではありませんでした。

それは何故かというと、蛍光灯はほぼ360°の角度で光が照射され、天井・壁・床など平均的に輝度が上がり空間が明るく見えていただけで、読書や勉強などの用途によっては照度が不足することが多かったのです。

さらに、広範囲に光を照射することで、様々な影を拾ってしまう欠点もあったのです。

実は、人類と光の歴史を遡ると、起きてから寝るまで同じ明るさと同じ青白い色味の光の下で生活していたのは、昭和以降の蛍光灯が普及してから現在までの大変短い期間です。

蛍光灯が普及する前の人々は、電球やガス灯、行灯、焚き火の炎など、赤味のある色の比較的狭い範囲を照らす光を浴びて暮らしていました。

人類にとって赤みのある光は、大変親和性が高いといわれています。

人類が自分たちで火を起こすことを発見し、日常的に火を使うようになったとき、見ていたのは木が燃えるときの炎の赤みのある光です。

人類は火を使うようになって外敵から身を守ることができるようになったといわれており、赤みのある光は安心感のある光としてDNAに記憶されているそうです。

一日の終わりを告げる夕暮れ時の空も、同じように赤味のある色の光を放ちます。

一日の労働が終わり太陽が沈むときの光の色も、炎の色と同じようにリラックスできる光として、DNAに記憶されているそうです。

このように、赤みのある炎に似た色の光は、われわれのDNAにプラスの記憶として刻まれていて、人類が好む「ほっと一息つける」光なのです。

照明器具の光の色味による名称は、青い色に近いものから赤い色に近いものへ、昼光色、昼白色、白色、温白色、電球色となっており、炎や夕焼けの色に近いのは電球色です。

現在のLED照明は、調光・調色機能を持つ器具が出ていますので、人の生体リズムに合わせた照明にすることが可能となりました。

例えば飲食店で、お昼のランチタイムと夜のディナータイムで照明の色を変えることは大変効果的です。

ランチタイムには調色機能で昼白色に設定し、お客様が午後からも集中力や活力を維持できるように配慮して、ディナータイムは電球色に設定し、夜に向かってリラックスできる空間を造ることが可能となりました。

理想的な照明は、一日の生体リズムによって色や明るさを変える照明です。

これは、LED照明が普及したからできることで、やっと本当の心地よい空間造りが可能になったのです。

これから照明計画を立案する際には、蛍光灯器具時代の経験に引っ張られることがないよう、頭を切り替える必要があります。

続きは、次回の投稿で書かせていただきます。
最後までお読みいただき、有難うございました。

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