今回は、照明についてのお話です。
照明のプランニングは、内装以上に決まった正解がないので、店舗開発担当者も苦手にしている方も多いと思います。
それは何故かというと、照明図面は天伏せ図という天井面の照明器具の配置を平面で表した図面で判断しなければならないため、実際の店舗では配置される什器や造作の影により、光を当てたいところに要求された照度が出ないという失敗をしがちなのです。
また、照明器具には光束数(光の量)、配光角(光の照射角度)、色温度(色味)、演色性(自然光下で見る商品の色とどれだけ近いか)、消費電力、調光機能など、衣類と同じように様々な要素を組み合わせる必要があり、自分なりの正解を見つけて照明器具を選定するという難しさがあります。
さらに、現在は蛍光灯・白熱球照明の時代から、LED照明の時代へと大きく変化しましたので、昔勉強した照明の知識が役に立たない場面が多くなりました。
時々何も考えず、蛍光灯照明のようにお店全体を均等に照らす照明計画で施工されたところを見かけますが、商品や料理が映える照明になっておらず、店舗の照明計画としては残念なことになっています。
蛍光灯器具は光の制御が困難であったため、どうしても全体的な照明になりがちでしたが、本来の基本的なお店の照明計画は・・・
①最初に、主に光を当てたい場所にどの範囲でどの程度の照度・輝度・色温度・演色性のレベルが必要がを決めます
②①の範囲以外のエリアについて、お店のコンセプトに合わせ必要な照度・輝度を決めます(①の範囲より照度・輝度を落とします)
③用途や内装デザインに合わせて、照明器具の種類を決めます
④照明器具の設置高さ、壁との寄り、配灯ピッチなどを検討して決めます
⑤照明器具を点灯したとき、どのようになるかを照度分布図で確認します(床・壁・テーブルなどの家具上・厨房の作業台上など)
⑥できれば、3Dの照明シュミレーションソフトで描いた照度・輝度分布図を確認します
⑦不具合のある部分は、計画を修正します
⑧調光機能が必要な照明器具は漏れがないよう、図面で仕様をチェックします
これがざっくりとした照明計画の流れですが、実際はメーカーのショールームで実物をチェックしたり、ガラスなどの反射面への映り込みなども確認しておきます。
このように、照明計画は結構ややこしい部分もありますが、内外装とともにお店の雰囲気を決定してしまう大きな要素ですので、上手く行ったときは本当に嬉しくなります。
続きは、次回の投稿で書かせていただきます。
最後までお読みいただき、有難うございました。